『珈琲屋の人々』

池永陽

双葉社

2012年10月発売


何事もなくて済んだけど、もしかしたら冗談にならないことになっていたかもしれない。何があったわけでもなく、イライラした気分になっていたら、危うく車にぶつかりそうになりました。この本を最後まで読むことができなかったとか想像したら、ゾッとした…どんなことがあっても冷静でいなきゃいけない。感情が爆発して、取り返しのつかないことを起こしてしまった男が主人公の本。

 

タイトルと表紙。どちらにも惹かれて、大阪の「一色文庫」で購入。読むのに一年もかかったくせに、ものの2、3日で一気に読んでしまった。父から受け継いだ喫茶店を経営する行介。熱いコーヒーを交えたお客さんとのやり取りの数々。確かにしっかり描かれてはいるけど、読む前に想像していたのとちょっと違って、かなり人間模様が複雑で濃厚。男女とも、かなり冷静さを失った状態でお店にやってくる。「慣れって、生き物の持っている最大の特権のような気がするわ」。次から次に出てくる人間の本音に驚きながらも、そんな中から面白さを見出している自分がそこにいた。間違いなく自分もカウンターに座っていた。人の振り見て我が振り直せ。自戒を保って生きていきます。

 

 

『本の街あるき 2016年3月 ❷』