『植村直己と山で一泊』

ビーパル編集部

小学館

1998年12月発売


もう何年前に買ってたんだろうっていうくらい、長い間積読してしまっていた。面白そうなのはわかっていた。けど、どうも自分との接点が無さ過ぎて。「一泊」というキーワードを無理やりに、福岡に行ったときに読んだ。「焦って突き進むと、結局は体力の予想外の消耗を招いて、自滅してしまう」。植村さん、街歩きでこのテクニック使わせてもらいました。

 

「別のイメージで見られているような気がすることが多くて、それがたまらなくなることがあります」。数少ない情報だけで、勝手な印象を持ってしまっていた自分にとっては、凝り固めてしまったイメージをゆっくり溶かしてくれるような、そんな一冊になった。1982年5月8日、9日。長野県の千曲川に行って過ごした二日間。そこで行われたインタビューを収録。「体験談がけっして自慢話の色をおびてこない」。ずっと聞いていたくなるような、不思議な魅力を持った植村さんの声が確かにここには収録されている。これまた勝手に植村さんを破天荒な人だと思い込んでいたら、そんなことは勘違いも甚だしい。「できるだけ安全を確保した上で、未知の世界へ入っていかなくちゃならない」。確かに言ってから行っている。

 

 

『本の街あるき 2017年3月 ❸』