『神田鶴八鮨ばなし』

師岡幸夫

草思社

1986年2月発売


旬のタイミングを逃さない。旬を逃したせいで、せっかく読んだのに感想を書けなかった本が過去何冊も。読んだらすぐに書く。島根の「冬營舎」で購入しました。

 

「シン・ゴジラ」に心をかき乱されたりしながらだったので読むのに時間がかかった。東京は神田「鶴八」の店主、師岡幸夫さんの生い立ちから、映画を見るのがただ一つの楽しみだった修行時代、そして親方になってから。一人の職人の濃密な自叙伝。出るだろうなと思ったらやっぱり出た、師岡さんの親方のエピソードが強烈だった。ビンタは日常茶飯事。罵倒はもちろん、親方と職人の食事の内容が違うなど。今だったら、法に引っかかるんじゃないかと思うようなことがわんさか起きている。中には耐え切れなくて逃げ出した人の話もちらほら。もちろん無茶だけではなくて、なるほどなと思わされる親方の愛あるエピソードもあります念のため。こんな時代ではなくなった分、今は幸せだという気もするし、だからこそ当時を耐え抜いた人は凄いのかなと思ったり。うなずいたり、唸ったりしながら読み終えた。鮨話もきちんと。だから今、鮨が食べたくてしょうがなくなっている。

 

 

『本の街あるき 2016年7月 ❶』