『ムツゴロウの大勝負』

畑正憲

文藝春秋

1977年9月発売


雀鬼ムツゴロウ。あの一点の曇りのない笑顔からは想像もつかない博才の持ち主。子供の頃から慣れ親しんで観ていた「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」とは別の顔。その噂は風の頼りに聞いていました。先日岡山で開催された「シンフォニー古本まつり」で購入。

 

ダークサイドムツゴロウ。ここにはあの独特の柔和な語り口で、動物の習性を語るムツゴロウさんの姿は面影すらない。天才的な勝負師を自認するムツゴロウさんの実戦経験から得た、必勝法の手の内を大公開。自分が今まで知らなかったムツゴロウさんのもう一つの側面が一冊まるごとに書かれていた。主にムツゴロウさんが本気で語っているのが麻雀。この本を読むだけで、十分この人の雀鬼ぶりも伝わってきた。ほかに自分勝手にある意味ショッキングだったのが動物ではなく、大都会の真っ只中の人間の男女の関係を思い切り熱くムツゴロウさんが語るところ。子供の頃ではなく、今この本を読むことができてよかったと思っています。

 

 

『本の街あるき NO. 20』