『男の隠れ家を持ってみた』

北尾トロ 

新潮社 

2008年5月発売


久々に行った、岡山「古本ながいひる」で購入。読みながら思ったのが、つげ義春の作品「退屈な部屋」と、最近読んだ中崎タツヤ「もたない男」が合体したかのような一冊だということ。「自然に会話に入れたぞ!」。表紙の漫画、最近バーに通いだしたんで共感しました。さすがにここまで緊張はしないけどなあ。 

 

「ぼくはオンライン古本屋のおやじさん」などを読んで知った、フリーライターの北尾トロさんの著書。「どこかでアパートの部屋を借りて、しばらく通ってみようと思ってるんだ」。雑誌の企画から強引に計画は遂行されます。「連載はつらかった」。冒頭でこのときのことを北尾さん振り返ってるんだけど、つらいの意味合いが想像と違った。色々なトラブルがあってつらいのではなく、なにも起きないからつらいというモノ。自暴自棄になったりもするけど、思った以上にドラマチックな展開に発展したりもする。一人の男の一時の様々な葛藤が垣間見れた一冊。今までに読んだことのない、とてもユニークな切り口。