『昼田とハッコウ』

山崎ナオコーラ

講談社

2013年9月発売


白地に緑の文字で「それでも本屋は続いていく」。この帯がなかったら、この本を手に取ることはなかったと思う。岡山「古本ながいひる」で購入。摩訶不思議なタイトル、六本木ヒルズのIT企業で働く「昼田」と、住みたい街ランキングの一位に毎年なっている幸福寺にある「アロワナ書店」で働く「ハッコウ」。二人を中心に物語は始まります。

 

500ページ超という本のボリュームながら、合間合間に様々な仕掛けがしてあって、終始だれることはなかった。「世界を見ているだけの人間になれたら、どんなにいいだろう」。中でも目を引いたのが、ある一人の人間の心境や行動の変化。良いようにも悪いようにも考え方や主義、あるいは人生がどんどん変化、それが自分以外の様々な人間とのやり取りによって生まれていたというのが、とてもスリリングで興味深い読書体験でした。ここ数年に起きた実際の出来事をスムーズに本に溶け込ませているのはさすがの一言。期待していた通り、本屋の話もしっかり出てきて大満足の一冊。帯に気付くことができてよかった!

 

 

『本の街あるき 2016年2月』