『鮨に生きる男たち』

早瀬圭一 

新潮社 

2007年4月発売


CDのジャケ買いならぬ本の表紙買い。この表紙に思わずグッときた。毎日新聞社に勤め、現在は東洋英和女学院で大学教授をされている早瀬圭一さんの前著「鮨を極める」に加筆・修正を加えたのが本書「鮨に生きる男たち」。冒頭で「本書はグルメ本でもなければ鮨屋案内でもない」と書かれているけどまさにそのとおり。立派なグルメ本にも鮨屋案内にも十二分に成りえていると思うけど、この本の中で一番生き生きと描かれているのは17店のお鮨屋さんのそれぞれの深い歴史とそこに生きる17人の鮨職人の人たちの筋書きのない本当のドラマです。 

 

その17店・17人の歴史・ドラマを見事に引き出しているのが学生の時から授業料をお鮨屋さんに行くのにつぎ込むなど、若い頃から無類のお鮨好きを発揮してきた早瀬さん。それぞれのお店には本当に好きで足繁く何度も通っているのだからお鮨の味はもちろん、来店の時のエピソードも細やかで詳細に紹介されていて、色んな視点からの新しい読み応え・面白さがありました。本を読んで早瀬さんが行かれたという岡山「松」に入店。本当に最高だった…

 

 

『本の街あるき NO. 2』