長谷部千彩
河出書房新社
2016年9月発売
ひらがなで印象を変える。カメラだけで書く。綺麗事と現実を、交互に出す。「引用言葉」を拡大解釈する。最後の一文を、情景描写で締める。「バズる文章教室」を読んだ直後に読んでみてください。これらのテクニックをふんだんに駆使しているのが、すぐにわかるから!エッセイの面白さより、まずそこに思いきり感心してしまった。神奈川「箱根本箱」で、本の装丁に惹かれて。一気に読んでしまいそうだったから、ホテルでは読まずに持ち帰った。思ったとおり、一日で一気に読み終えた。どんな人なのかも知らずに読みたかったので、名前を検索することもなく。
カメラや香水、音楽の話が、女性ならではの視点とテンポで、ゆっくり立ち上がっていると思っていたら、そこに待ち構えていたのは、オブラートに包まれながらも、せきを切ったように吐き出された、男と女の関係性。盛りまくる。「バズる文章教室」で、このテクニックも紹介されていたけど、どうやらこれはテクニックで書いてるだけではなさそう。見分ける必要はない。どっちにしたって、純度は100パーセント。 ヒリヒリするのはイヤだけど、ついついはがしてしまう。目まぐるしく変化する、春の嵐のよう。