『むかしの味』

池波正太郎 

新潮社 

1988年11月発売


飲食関連の本を読んでるとき、自分が面白いなと判断する一つの基準がある。それは料理以外のことも書かれていること。もちろん料理のことが書かれてなきゃダメなんだけど、それ以外のことも書かれてないと自分は面白いとは思わない。比率的には6対4で料理以外のことが書かれていてもいいと思ってるくらい。「鬼平犯科帳」でも知られる小説家、池波正太郎さんのエッセイ集。うまいものをうまいという言葉以外でも伝えられる。さすがというか、ぐいぐい池波さんの文章に引き込まれてしまいました。 

 

この本を読もうと思ったきっかけは益田ミリさんの漫画「オレの宇宙はまだまだ遠い」。「それ読むと腹へるぞ~」、漫画の中に登場するおじさんの言葉。案の定、お腹グーグー鳴りまくり。あと銀座、清月堂ライクスで出されたというクリーム・ソーダ。「ソーダと果汁の中にアイスクリームが浮いている。クリームを食べ、果汁をのむ。しまいには双方が溶け合って、何ともうまい」。今ではこのお店もなくなっているそうだけど…想像力と食欲が激しく掻きたてられました。