栗原亨
イースト・プレス
2002年5月発売
「ネットや写真集だけ見ていれば廃墟の危険にさらされることはない」。もともと廃虚を探索する気なんかなかったけど、冒頭にしっかりページ数を割いて何度も何度もしつこく注意喚起してくるので、改めて本当にそう思うようになった。人が住んでいないっていうだけで、何もしていないのに自然と建物は朽ちていく。なぜかそこにあった物が散乱する。なぜか窓ガラスが割られる。なぜか部屋に火を放たれる。思わず好奇心で買っていた一冊。岡山にあった「古書五社堂」で購入。最近こんなのばっかりだ。
男だったら誰しもが一度は憧れるであろう廃虚探索。それを大人になっても続けた場合。あくまで健全な精神で廃虚探索を行なっているため、不気味な怪談的な話は無し。あくまで真面目に廃虚探索をしている。その中でも心がざわついたのが、ラブホテルや民家などの生活感が生々しくしっかり残った廃虚。さっきまで人がいたかのようなっていうところでは戦慄さえ覚えた。やっぱりお化けなんかよりも人間の方がよっぽど怖い。軍艦島もきっちりフォローされていた。引っ越し真っ只中に読むような本じゃなかったけど。久しぶりに心がわくわく踊りました。