『江戸前ずしの悦楽』

早川光 

晶文社出版 

1999年11月発売


鮨職人、水谷八郎さん。日本一との呼び声も高い鮨屋の名店「すきやばし次郎」で16年間勤務したその後、横浜・関内で「次郎よこはま店」を開店し独立。現在はすきやばし次郎と同じ銀座で「鮨水谷」として営業をされ、これまたすきやばし次郎と同じくミシュランガイドで見事三ツ星の評価も受けています。本の著者はエッセイストの早川光さんで、横浜にお店がある頃から水谷さんのお鮨とその哲学に魅了されたのだそう。 

 

本はそんな早川さんが一年をかけてお店に通って実際にお鮨を食べたときの感想と水谷さんとの会話のやり取りを詳細にレポートしたもの。毎月撮影されたお鮨の皿盛りの写真は非常に美しく、水谷さんに負けず劣らずお鮨の知識が豊富な早川さんの話もとても面白かった。ちなみに単行本には最後に「「次郎よこはま店」のタネあかし」として、水谷さんの鮨ダネの仕込みの工程の写真が載っています。半熟カステラの生地のような玉子焼の玉子汁を菜箸二本でひっくり返す写真には感激した。文庫本の営業妨害してるけど、自分は文庫本も結局買ったので文句は言わせない。面白さはどっちも変わらず。