『競走馬私論』

藤澤和雄 

祥伝社 

2003年4月発売


一番最初に調教師の方の感想を書いたのは、森秀行調教師の「最強の競馬論」だったんだけど、一番最初に読んだのはこの本だった。競馬本なんだけど、普通に読み物としてユーモアに溢れていて、とても面白い内容です。 

 

バブルガムフェロー、タイキシャトル、シンボリクリスエスにゼンノロブロイなどなど…代表馬を挙げればキリがないけど、現在も多数の名馬を管理する、藤澤和雄調教師の著書。森調教師の本と似た構成で、競馬の世界に関わった敬意から調教師になったいきさつ、調教師になってからの気苦労まで、非常に幅広くそれでいてそれぞれの事柄にもしっかり踏み込んでいる。調教助手としてシンボリルドルフに携わった「ルドルフと二人の名伯楽」、馬産地の裏事情を厳しく批判したりした「売り馬なら売ってくれ」、耳のなかにキノコが生えていたという厩舎開業初期を支えた馬「ビーチハウスを忘れるな」など、興味深い話も満載。ゴーストライターには書けそうもないエピソードばかり。名伯楽は文才もお持ちでした。