少年アヤ
河出書房新社
2014年7月発売
日記を書いたことがない。いや、それは嘘。アドレス帳のところだけは丁寧に書いて、あとはほとんど真っ白。三日と続いたことがない。自分でも見返したくない。一行しか書いていないそんな日記だって、勝手に見たりされたら怒る。それをびっちり一年分。いいのだろうか。書籍化しているから勝手に読んでもいいのか。積読5年。「エヴァンゲリオン」は幸運にも最後を見届けることができたけど、いつどうなるかわからない。そんな時代。購入した本屋だって無くなってしまうんだから。
「痛めつけなくてもこの身はいつか滅びるものだから甘えてなんぼ」。本を読んでいる間、宇多田ヒカルのこの歌詞がずっと頭の片隅にあった。前半こそアイドル、韓流、素人にまで食指を動かし半狂乱に追いかける、痛々しいほど自虐にまみれた笑える文章が続くんだけど、憑き物が落ちたように突然世界が変わり出す。そのまま途中でやめるのがなんだか怖くなって、そこからはもう一気にカタをつけた。著者の本は二冊目だけど、モノの見方がやっぱり特殊というか、目には見えない特殊なサングラスをかけているとしか思えない。なるべく細く長くでお願いします。読んでるこちらが焦心してきた。