『くいしんぼう』

松浦弥太郎 

マガジンハウス

2015年6月発売


自分の番が来た時にないよと言われた恥ずかしさがその原因かもしれない。子供の頃からずっと行列に並ぶのが苦手だった。どうしてもというときはもう腹を括るけど、今でも基本的にその考えは変わらず。「珍しいものなら、行列に並んで買うことも少なくなかった。そんなくいしんぼうな買い物にたっぷりと付き合わされた子どもだった」。松浦少年のエピソードを読むと自分はこんな子供じゃなかったということがよくわかる。それでもくいしんぼうな心意気だけは大人になるにつれて増してく一方。松浦少年に追いつき追い越せ。今からでも取り返すつもり。図書館で見つけて嬉々として。

 

食事やお菓子を和洋問わず。これぞくいしんぼうと言わんばかりに、東京を中心としたお店が多数紹介されている。泣いたり感動したり度肝を抜かれたり。いちいち敏感に反応する松浦さんのコンパクトな文章も面白くて良い。面倒だろうか…いやいや、どうせだったらこんなふうに毎回感動しながら食事を楽しみたい。本を返却する前にもう一度見返して思わず生唾を飲み込んだのは「中島ベーカリーのキャベツパン」。大人をなめんなよ〜…新幹線使ってまでいつか食べに行ってやるからなっ。