『旅の窓』

沢木耕太郎

幻冬舎

2016年4月発売


お金になるとかならないとか、そういうのはどこかへ捨てちまえ。つい最近思ったばかりなのに、早くも前言撤回したくなった。これは売れる。同時期に発売された旅行記。テーマが同じでも、書く人によってこうも毛色が違ってしまうものなのか。だから本は面白い。だからこそ生きている間に一冊でも多くの本を読みたい。そんな衝動に強く駆られる毎日です。

 

こんな素敵な本が旅先に置いてあったら手に取らないわけがない。一気に読んでしまったらもったいないと思わないわけがない。自分のものにしようと持ち帰らないわけがない。神奈川「箱根本箱」で見つけて購入。ヴェトナム、中国、アメリカ、ブラジル、フランス、マカオ…世界各地で旅をした時に撮ったという写真に文章が添えられている。目にも美しい写真に写る、風景やモノや動物や人。そこに著者の性格が滲み出たような簡潔で丁寧で、思わずハッとさせられる文章が最初から最後までずっと続くのには軽い衝撃を受けた。今度旅に出たらこんな感じの写真を撮ろう。こんな感じの着眼点を持っていよう。多大なるモチベーションとインスピレーションを与えてくれた一冊。はあ…早くコロナ終息してくれ。

 

 

『本の街あるき NO. 125』