『傷だらけの店長』

伊達雅彦 

新潮社 

2013年8月発売


猛烈な勢いで読み進めて一気に読み終わった。本の内容もどんな結末かも想像できたけど、それでも固唾を呑みながら一心不乱にページをめくりまくっていた。どっちだろうと、もうほんとにどうでもいいことなんだけど「伊達雅彦」という人が書いたこの本。たぶん本当にあった話なんだと思う。なんで言い切れるかというと、最後の営業日の店内の様子、閉店後の解体作業、それらすべて終わった時の心境。本屋ではなかったけど、自分もまったく同じだったから。お店の厳しい状況なんかは経験したことない人でも書けるかもしれないけど、閉店した後のお店の光景やその後の葛藤は経験した人でないと絶対書けないはず。読んでる間はずっと胸が苦しかった。自分は二度ともうあんな経験したくないです。 

 

大袈裟な脚色もない、どんでん返しの感動のエピソードもない。そんな本なんだけど、書店員の人、本屋が好きな人、それから販売員の人にはとにかく絶対に読んでもらいたい一冊。読んでなにか対策を立てられる訳じゃないかもしれないけど。こんなこともあるんだと知ってほしい、心のどこかで常に備えておいてほしい。