『ゆみとくるみ』

うるひこ

一迅社

2018年10月発売


どこからともなく彼女が見つけてきた漫画。貯まっていたDMMポイントを使って購入。ネットで「重版出来!」を見返していたところだったので、ちょうど漫画も読みたくなっていたところ。何十巻もある大作にも挑戦してみたいけど、一冊で読み終わる単行本はやっぱりいい。とても爽やかに一息で読めた。「さえないOLと心を持つぬいぐるみのヒーリングストーリー」。試し読みをしている時には少しだけ眉間にシワが。

 

乱暴な運転をする車に泥水をひっかけられる1ページ目や、ヒロインの自信のない表情や涙の流し方。なんか…なんか今の漫画っぽくない。あれ?ジャンプ黄金期世代を過ごした元少年の心が再び揺れに揺れ始めた。現代の漫画に多い、スレた感じやスカした感じが一切ない。過剰な感情表現もしつこい展開もなくて、とにかく健全。ひねくれてしまっていた自分の心にしっとりとしみ込んでいく。読み返すたびに、作者や編集者の創意工夫が次から次へと見つかる。それは自分が大人になった証拠だと思うようにしよう。読む人が増えていくたびに、世の中がどんどん良くなっていくような気さえする。とても良い漫画。重版出来になることを心より願っております。