『一〇三歳になってわかったこと』

篠田桃紅

幻冬舎

2015年4月発売


嬉しいと思ったら全然嬉しくなかった。自分の年齢を知らない人に言うと大抵びっくりされる。歳を取ったのが単純に嫌なんじゃない。どうも実年齢が自分の中でしっくりきていない。数字だけが増えていってるような気がする。だからなんとなく堂々と言えなくなってしまっている。こんな感覚初めてなので正直戸惑っています。

 

本は岡山「古書五車堂」で購入。その帰りに新刊書店に寄ったら、シニアの方が書かれた本のコーナーが作られていて仰天。この本も置いてあった。103歳の美術家、篠田桃紅さんの著書。90代でできていたことが、100歳を過ぎてできないと嘆いておられるところに、今まで考えたことのない衝撃を受けた。じゃあ、バイタリティーに溢れた人かと思ったら「生きながらにして、片足はあの世にあるように感じています」。とらえどころのない不思議な魅力をお持ちです。何とも言えない不思議な気持ちになりながら読み進めていたら「自分の生き方を年齢で判断する、これほど愚かな価値観はないと思っています」……いつの間にかできていた、この愚かな価値観を変えるきっかけにしたい。

 

 

『本の街あるき NO. 11』