『江戸前「握り」』

荒木水都弘、浅妻千映子 

光文社 

2004年1月発売


あなたはいま、上野毛の駅から歩いてたどり着いた、「あら輝」の暖簾の前にいます―――東京は世田谷、上野毛にあるお鮨屋「あら輝」。日本一予約が取れないというこのお店の秋分から春分にかけてのネタを中心に、「あら輝」のスタイルである「おまかせ」を紙上で楽しめるよう構成したのが本書「江戸前「握り」」です。

 

笑顔で迎えてくれる、つやつや坊主頭の偉丈夫「あら輝」の御主人、荒木水都弘さんが終始、読み手=お客さんに語りかける内容になっていて、自慢の握りのネタ解説やご自身が鮨屋になるまでのいきさつ、休みの日の過ごし方や普段行くおすすめのお鮨以外の食べ物屋さんのあれこれ、果ては奥さんとの馴れ初めの話しなどなど、実にいろんなお話しを極上のお鮨とともに荒木さん話してくれます。本を読んでいるとあたかも自分が何度も通いつめた常連のお客さんになったかのような気分に気付けばなってしまっていた。最後、帰りのお見送りまでしてもらって…本ではあら輝のお鮨をおおいに堪能できた。いつかは本物のお店に予約を…