『ひきこもれ』

吉本隆明

大和書房

2006年12月発売


続けてお父様。そもそも親子二代にわたって読んだことなんて今までないかも。この本も長いこと積読してしまっていた…たぶん、岡山「ながいひる」で購入。どういう方なのか知ってはいたけど、著書を読むのは初めて。「ぼくは人の中に出て、自然に振る舞うことがとても苦手な人間です」。ご本人がひきこもりということは知らなかった。説得力がこれでまた違ったものに。

 

ひきこもりを筆頭に教育やいじめ、戦争など。多岐にわたるテーマのお話をされている。どれもが新鮮な独自の視点で、なるほどなと思いながら読み進めていたんだけど、やっぱり自分にピンときたのは死について。「生命力と可能性がたっぷり残っている時のほうが、生に執着しないところがあります」。ぼんやり読んでいた自分の頭を一気にシャキッとさせてもらいました。「みっともないなあと、つくづくみっともないなあと思います」。老いに対するお話も当事者でしか知り得ない気持ちに溢れている。先人の英知に少しだけ触れさせてもらった。ひきこもりの人が話すひきこもりの話。これがとても大切なんじゃないかと。いろんな人の目の前を明るくしてくれていると思う。