『快楽は悪か』

植島啓司 

朝日新聞社

1996年7月発売


岡山「ミルブックス」で購入。宗教人類学者、植島啓司さん。うーん…なんか違う。無類のギャンブル狂で、世界中を飛び回って好きなことをしている、ひたすらユニークで魅力的な人。植島さんの本を読むのは今回で二冊目。もう人柄を知っているので安心して読めました。

 

「他人に迷惑をかけさえしなければ何をしようが個人の自由だ。ヒステリックに批判するほうが間違っている」。朝日新聞に連載されたコラムを一冊にまとめた本書。震災や宗教など、コラムが執筆された当時に起きた社会問題についても言及されています。それとは別に。日頃のフラストレーションも相当溜まっていたんだろうか。目の前にある大小様々な問題に対して見事なクロスカウンターを次々お見舞いしている。それらがとても痛快で面白かった。「実際われわれが生きるのは、むしろ快楽を十分に味わうためではないか。他に生きる目的などありはしない」。ここまで言い切ってもらって嬉しくなったし、同時に自分も早く快楽を十分に味わわなければと焦りだしている。ひさうちみちおさんのイラストも必見。

 

 

『本の街あるき NO. 19』