『酒場の奇人たち』

タイ・ウェンゼル 

文藝春秋 

2004年11月発売


お洒落で華やかでスタイリッシュで静かな雰囲気で…漫画「バーテンダー」のようなバーが世界中のどこに行っても実際にあると思い込んでいる自分にとっては信じられないような光景が本の中には広がっていました。全てのアメリカのバーがこんなではないと思いたい、いや絶対違うはず! 

 

本はファッションコーディネーターから雑誌編集者を経てバーテンダーになったトルコ出身のイスラム系女性、タイ・ウェンゼルさんのエッセイ。バーの秘密は必ず守られる。漫画にはそう書いてあったけど、そんなバーの格言なんかクソ喰らえ!11年間勤務していたマンハッタンのバー、「マリオンズ」に来ていた奇人変人なお客様の切なくも輝かしいエピソードの数々をウィットに富んだ辛口な語り口でこれでもかっていうほどこき下ろしています。文章のスピード感や表現の仕方など、伝わってくる雰囲気は海外ドラマそのもの。終始辛口文章が続いているけど時たまほろっとくるとこがあるのも海外ドラマそのもの。「セックス・アンド・ザ・シティ」みたいにドラマ化したら絶対大ヒットしそうなのに。