『オレの宇宙はまだまだ遠い』

益田ミリ 

講談社 

2012年7月発売


ネット検索では新しい本との出会いはない。リアル書店を紹介している雑誌や本なんかでは最近必ずこの言葉がどこかに載っているけど、自分はかなりの頻度で新しい本と出会えていると思っている。主人公は書店員歴10年の32歳。いつの間にか彼女いない歴6年の土田新二くん。漫画は彼の日常を追いかけたもの。それにしても書店員という職業以外、ほとんど土田くんと境遇一緒だ… 

 

表紙からもなんとなく伝わってくるように、淡々と物語は進んでいくんだけど、読んでいてすぐに思ったのは全体の温度感が絶妙にマイルドだということ。言わんとしてくることも熱っぽく語りかけてくるでもなく、かと言って冷たい感じでもなく。土田くんが書店員なので本もよく登場してくるけど、その登場の仕方も嫌味がないというか。とても自然に登場してきている。サラッと読めるけど、じんわり心が温まる読後感。素敵な内容の作品でした。うん、ネットでも新しい本との出会いできてるな。