『閑な読書人』

荻原魚雷

晶文社

2015年11月発売


ネットではなく本屋で買う。この本に対しては、なぜかそんな制約を課していた。前からずっと気になっていて、目をつけていた一冊。それなのに、一度実際に見かけたにもかかわらず、気分のタイミングが合わなくて痛恨の買い逃し…そういうことをすると、なかなか巡り会うことはできないのはわかっています。探そうとすると出てこないので、それからはずっと忘れたふり。そのことすら忘れていた頃に、香川の「ルヌカンガ」で偶然にもバッタリ再会。もう同じ轍は踏めない。今度は確実に仕留めた。

 

年末年始。大原扁理さんの「年収90万円で東京ハッピーライフ」を引っ張り出して再読していた。フリーライター、荻原魚雷さんの著書。「ずっと隠居にあこがれていた」。まだ隠居はしないにせよ、年明けから妙に隠居という言葉が頭の中をフラフラしていたから、冒頭の文章を読んで思わず鳥肌が立った。ほかに読んでいて思わずうなってしまったのは、単純に書評の面白さ。巧みな引用と、ご自身が思ったこと。それらのバランスが技ありで絶妙。装丁や質感、積もりに積もった本に対する想いといい、自然と手放せない一冊に。末永いお付き合いを続けていくことになりそう。

 

 

『本の街あるき 2018年1月』