『本の声を聴け』

高瀬毅 

文藝春秋 

2013年1月発売


彼が本を並べると、本棚が輝き始める。本はブックディレクター、幅允孝さんが今まで手がけてきた仕事を紹介した本。幅さん自身が執筆された「幅書店の88冊」も面白い内容だったんだけどブックガイドだったので、今度は幅さんが具体的にどんな本棚を作ったりしているのか是非とも読んでみたいと思っていた。美容室や大学のブックカフェ、果ては銀行まで。どういった依頼内容があって、どういうコンセプトを持ってそこに本棚を作ったのかが楽しく紹介されています。 

 

「売り上げが伸びず、お客もなかなか来てくれない。だから、平台や棚にある本を手に取って、ページをめくってくれるなんて凄いことなんです」。この幅さんの書店に勤めていたときのエピソードを読んで、「幅書店の88冊」を読んだときも思った、幅さんの肩肘張らない本選び、本棚作りの理由がわかったような気がした。本を人に読んでもらおうという気持ちに溢れた本棚。写真や文章でも十分伝わってきたけど、やっぱり実際に幅さんが作った本棚の前に立ってみたい。こんな本棚作りをする本屋さんもどんどん増えてきてほしいと思っています。