『昔日の客』

関口良雄 

夏葉社 

2010年10月発売


島田潤一郎さんの「あしたから出版社」を読んで、慌てて本の山から取り出した。「本屋図鑑」 、そして「昔日の客」と、気付けば夏葉社さんの本は全部岡山「古書 五車道」で購入させてもらっています。ちなみに本のタイトル、「むかしび」ではなくて「せきじつ」と読むそう。 

 

まずこちらの本。詳しくはなんだけど「明日から出版社」を読んでから読むと、本により一層愛着が湧いてくると思う。東京、大森にあった古本屋「山王書房」の店主、関口良雄さんの随筆集。関口さんとお客とのやり取りが知的、それでいて温かくユーモラスに描かれている。同時に文章から漂ってくる哀愁の匂いに背筋がピンとさせられるものがあったり。ただ、惜しむらくは自分。三島由紀夫や川端康成はなんとかわかるけど、それ以外のお店を訪れる作家先生のことをまったく知らない…知っていたら、いてもたってもいられなくなるぐらい興奮して読んでただろうに。今後この人たちの作品に触れて、もう一度本を読み返したいと思っています。