『アート・ブレイキーに競馬が好きかと訊ねたら』

武市好古

作品社

1992年5月発売


寺山修司は確かモカとか何か言っていたような…知らず知らずのうちに買って帰る本を全部コーヒー関連限定にしていた先日の旅行。無い知恵を無理やりしぼって、こじつけも駆使して選んで本当によかった。演出家で評論家、武市好古さんの著書。結局は最高の万馬券を引き当てることになりました。姫路にある「おひさまゆうびん舎」で購入。

 

「ぼくは競馬をつねづねエンタテインメントだと考えている」。頻繁に武市さんが言われていた言葉。いちげんさんお断りじゃないけど、決して敷居は低くない。面白く伝えてるけど、バカ騒ぎなんかでもない。同じエンタテインメントでも今とはベクトルが全く違う。あくまで刺々しく競馬の魅力をきちんと伝えていた時代。この世界を垣間見て自分は競馬にのめり込むようになった。映画や音楽を巧妙に絡めたり、武市さんの造詣の深さにも舌を巻いた。でも決して無理やりに競馬にお洒落をまぶしたりなんかしてないところもポイント。80年代の海外の競馬と日本の競馬の動きが同時によくわかる非常に貴重な一冊だと思います。「名馬が名騎手を育て、名騎手が名観客を育てる」。なんだか妙にズシンと心に響く言葉だな。

 

 

『本の街あるき NO. 60』