『神戸、書いてどうなるのか』

安田謙一

ぴあ

2015年11月発売


「すべてが音楽に結びつけられている」。先日読んだ「POPEYE 2018年 6月号」で紹介されているのを見かけて。四国にどっぷり…神戸から完璧に足が遠退いてしまった昨今。エイジング2年。ここにきてようやく…ようやく読むタイミングが巡ってきた!購入したのはもちろん神戸の「1003」で。

 

お店でパラパラ読んでいたときは、成田一徹さんの「神戸の残り香」のようなノスタルジー満載な本だと思っていたけど、少し毛色が違う。一本800字、108の文章で一気に駆け抜けていく痛快エッセイ。ロック漫筆家という肩書きをお持ちなだけあって、音楽に関する造詣も相当に深い。何よりテンポが良い。「彦六鮓」に「ポートアイランド」「六甲山」に「口笛文庫」。やはり実際に足を運んだ場所の情景は鮮やかに蘇る。行ったことのない場所はどこかノスタルジーな安田さんの世界観で溢れている。このお店の前にはあのお店が入っていた。あのお店が隣にあった。「失われた異常な時間をいとしむ」。こんな特異な体験をカタチにできて人に伝えることもできて、しかもお金ももらえることを心から羨ましく思います。

 

 

『本の街あるき 2016年12月 ❷』