能町みね子
講談社
2016年3月発売
「死にそうな場所が好きなんです。私を是非死にそうな場所に連れてってください」。それっぽい本を見つけたなあっていうホクホクした思い出が今も鮮やかに蘇る。「ヴィレッジヴァンガード 高知中央店」で購入。ひと目で気が付く外観。ショッピングセンターじゃなくて路面店。本店と同じように二階建て。高知に行くたびにお金を落としてたのに。まさかお店がこんなことになってしまうとは。
メジャーどころじゃなくてアンダーグラウンド。この手のタイプは何冊か読んでるので目が肥えている。なんでまた読むのかというと、自分も街の「へり」でチマチマするのが好きだから。順風満帆に進むスケジュールに不平を漏らし、見学を断られると歓喜の声を上げる一行。かと言ってメンバーが死んでしまうほどの大きな展開もない。書く側と読む側。お互いがナチュラルに楽しまないと生まれないケミストリー。まだまだ日本は洗練されてなんかいない。各地にはカオスな香りがプンプン漂っている。なんの意味もない、誰が得するわけでもない、なんでもない殺風景を切り取って封じ込めた一冊。お金になるとかならないとか、そういうのはどこかへ捨てちまえ。
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