平松洋子
筑摩書房
2010年12月発売
著者プロフィールなどを見ても、あまり岡山県出身ということが書かれていない。同郷としてなんでだろうと少しだけ残念に思っていたら、平松さんが今年の夏に倉敷で起こった出来事について文章を寄せていた。限られたスペースに思っていることをしっかり収める技術はさすがの一言。倉敷に対する思いもしっかり伝わってきたので嬉しかった。母からもらった新聞の切り抜き。本も母から借りて読んだ一冊。
レモンや干した肉など食材はもとより、本は主に調理道具ひとつひとつをテーマに選び出して、じっくり膝を突き合わせて書き上げられたエッセイ。読み始めてすぐに思い出した。内に秘めた思いが沸点に達したときの平松さんのスパークっぷりを!それを言ったら母も言っていたし、本を読んだ人も言っているけど、平松さんの文章は相当にクセがある。食材や道具を擬人化したりするのもそう。忘れていたから面食らうんだけど、本を読んでいると気になるどころか次第にそのクセを楽しみにしていくようになるから、慣れって怖いし楽しい。面白いことなんか突然降ってはこない。常に身の回りにアンテナを張り巡らせて、日々頭の中をスパークさせる毎日を自分も送りたい。